「顔の見える木材での家づくり」のゴール
地域材振興にとっての最終的なゴール、それは部品部材化した製品の出口需要をどのように拡大していくのか、ということである。しかし、木造新築市場、それも構造材とりわけ柱材需要だけで「振興策」と考える時代は既に終わりつつある。むしろ今後の市場趨勢を考えた場合、ストックの価値再生リフォーム等にどう関わっていくのか、という部分での市場展開が必要となっている。
また、「地域材」が住まいの付加価値として成立し得るのか、ということも問われている。この場合、ハードな部品部材活用だけでなく、顔の見える木材というソフトも含まれることは言うまでもない。
そうしたソフトを含めて「顔の見える木材での家づくり」が一つのムーブメントとして全面的に消費者に認知されていく時、地域材を取り巻く環境は大きく変化していく、と考えられる。
顔の見える木材とは
顔の見える木材での家づくりネットワークでは、
①山側(林家・森林組合・素材生産者等)
②製材・プレカット工場
③商社・木材流通業
④工務店・設計事務所
が中心的にネットワークを形成している。ネットワークは、木材の品質(主に乾燥品質)を誰が負担するのかによってその形態が決定されている。
そうした品質に対するリスクを積極的に担い、改良し、消費者の信頼に応えている出口部分での担当者である工務店・ビルダーの需要獲得は、拡大基調にある、と言うことができる。
しかし、出口部分を担う彼らだけで「顔見え」的な住宅づくりの主体が構成されるのではなく、山側も製材工場もプレカット工場も「顔の見える木材」供給者としての主体意識を持った連携ができている部分にそうした実績拡大が伺える。
このサイトでは、出口部分を中心とした広義なネットワークの成功事例における共通的な手法からベンチマークすべき部分を導き出し、このムーブメントの拡大の方途を検討したい。