山の加工場ネットワーク 横濱金平氏に聞く
一つの産地と結びつくのではなく、東濃地域と紀州半島全域を活動の場とする。このネットワークの特徴は、製材技術を活用した商品の開発プロデュースにある。山側には町からのニーズ情報を提供し、町には山からの製品をプロデュースし提供するという仕組みだ。
ここではまず、市場が要求する性能や品質、量を明確にし、それに応える力を持った製材等に手を挙げさせる方法がとられている。そうして、この地域ではこれだけの量、こちらの地域ではこれだけの量といった把握を行う。スペックが明快であるために、地域による品質的な誤差はあまり生じない。
このネットワークによって、新築マンションや分譲住宅の内装部材として、高品質な地域材を活用するといったプロジェクトが実現している。
山側と川下をつなぐ、このようなプロデュース能力の育成は、今後の地域材活用振興を考える上での課題でもある。
一つには、町場の材木業の再生策として、このようなプロデューサーの育成ということもプログラム化する必要があると言える。
このネットワークの主宰者である横濱金平氏のレポートを元に、ネットワークの取り組みと今後の課題を考える。
家族で自宅の建前を模擬体験しながら 大工さんや山側の人々と交流する | 自宅に使用される桁材で記念撮影 |
ワークショップ風景 | 構造見学会の模様 |
ネットワークの構築
100%地域材使用の住宅建築が実現したのは1997年。大手住宅メーカーが集成材を無垢木材よりも強い構造材としてコマーシャルを始めた時期。依頼してきた知人は住宅展示場で情報収集し構造材に集成材を採用しているこのメーカーに心を奪われほぼ契約寸前で相談に訪れました。木材生産地に住まう私たちの「顔の見える関わり合い」を創りましょう!という提案がネットワーク構築の誕生秘話。
竣工した住宅は「桧フルコースの家」として話題になり、当時40万円/坪で国産材住宅が建築可能なことを実証しました。施主の希望する集成材梁はヒノキ材で製作し、柱は無背割り中温乾燥技術で製作できた経験がさまざまな課題解決の糸口を辿る原点になっています。
取り組みから見えてきた地域材流通の課題
ユーザーが地域木材を相談する窓口は3つあります。①地域の製材所 ②木材協同組合 ③森林組合です。
しかし、そのどれもが充分に期待に応える力は持ち合わせていません。
山の加工場ネットワークの試み
立場の異なる四つのグループによる緩やかな連携の横並びネットワークです。①素材生産の現場 ②木材加工の現場 ③科学的木材研究の現場 ④住まい創りの現場。 それぞれが共有するコンセプトによって繋がり得意分野を持つメンバーをプロジェクト毎に事務局が選定し「国産材の新しいマーケット創出」をテーマに商品開発型の事業運営を行っています。
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